所得税を節税できるメンテナンスの時期

所得が大きくなる年度に合わせて大規模修繕を

まずは適切な維持管理で建物の寿命をのばすことが大切です。しかし当然のことですが建物は竣工した時が一番新しく、その後、年数が経つにつれ、紫外線や風雨の影響を受けて劣化がすすんでいきます。けれども定期的に適切なメンテナンスを施していけば、劣化のスピードを遅らせ、建物の寿命を延ばすことができます。賃貸住宅の場合、どんな部位をどう補修していくかは、オーナーさんの考え方次第。メンテナンスをしっかり行うことで、多くの人から「借りたい」と思われる賃貸物件にすることができます。

メンテナンス費用については一般的には、支出をした年度に必要経費として算入できれば、そのほうが有利です。しかし、大規模修繕などで大きな支出があって、必要経費で落すと赤字になってしまうというケースではどうでしょう。赤字になると、その年度に使える所得控除(基礎控除や配偶者控除など)が全部ムダになってしまいます。
そこで、例えば生命保険が満期になる、会社を退職して退職金が入るなど、所得が大きくなる年度に合わせて大規模修繕を実施するという方法があります。そうすることによって、将来の安定収入を確保するための投資をしながら、所得税・住民税を節税することができるというわけです。ただし、賃貸住宅の築年数や建物の状態によって、大規模修繕に適したタイミングがあります。それだけに、賃貸経営は長期的な計画性が重要だといえます。

この他、所得の額や借り入れの返済状況、相続をすでに迎えた人とこれからという人では、メンテナンスやリフォームをしたほうが有利か、思い切って建て替えを考えたほうが有利かなど、容易に判断できないこともありますので検討が必要です。


相続・経営ガイド|Q&A

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